【参考記事】ホワイトボードが必要|教育現場の環境デザイン

大型提示装置(含む電子黒板)の整備率91%時代に考える

ホワイトボードを上手に併用する教室・会議室づくり

  • 「電子黒板や大型ディスプレイを導入したものの、以前より板書できる場所が少なくなった」

  • 「手書きしたいけど、以前の黒板だと生徒が見にくい」

  • 「資料を切り替えると、先ほど書いた内容が見えなくなってしまう」

学校の教室や企業の会議室では、このようなお悩みを伺うことがあります。

文部科学省の調査によると、公立学校の普通教室における「大型提示装置」の整備率は、2019年3月の52.2%から、2025年3月には91.0%まで上昇しました。ここでいう大型提示装置には、電子黒板だけでなくプロジェクターや大型ディスプレイなども含まれていますが、学校のICT環境が急速に整備されてきたことが分かります。企業の会議室や研修室でも、大型ディスプレイや電子黒板の導入が進んでいます。

一方で、画面を設置するだけで授業や会議の環境がすべて使いやすくなるとは限りません。電子黒板を導入した後に、従来の黒板やホワイトボードとの配置や役割分担を見直すことが必要になる場合があります。

本記事では、電子黒板の普及後もホワイトボードが必要とされる理由と、表面材、設置方法、耐用年数などを踏まえた選び方をご紹介します。


1. 電子黒板が普及しても、ホワイトボードはなくならない

電子黒板が普及すると、「従来のホワイトボードは、いずれ使われなくなるのではないか」と思われることがあります。

しかし、世界の市場予測を見ると、電子黒板市場が成長する一方で、従来型ホワイトボードの市場についても緩やかな拡大が予測されています。

ある民間調査では、世界の電子黒板市場は2026年の約56.7億ドルから2034年には約100.6億ドルへ成長し、年平均成長率は7.42%と予測されています。一方、従来型ホワイトボード市場についても、2026年から2035年にかけて年平均2.9%程度の成長が見込まれています。それぞれの調査では市場の定義や、もともとの普及率、お及び集計方法が異なるため、市場規模の金額をそのまま比較することはできません。ただし、電子黒板の成長が直ちに従来型ホワイトボードの需要減少を意味するわけではないことが分かります。
こうした動きの背景には、電子黒板とホワイトボードの役割が異なることがあります。

電子黒板は、動画、写真、図表、スライドなどを大きく表示することを得意としています。一方、ホワイトボードは、授業や会議の進行に合わせて考えを書き出し、必要な情報をその場に残しておくことに適しています。

両者は、どちらか一方を選ぶ設備というよりも、それぞれの特長を活かして併用する設備と考える方が実態に合っています。


2. 電子黒板は「板書の代わり」だけではありません

電子黒板という名称から、従来の黒板やホワイトボードをそのままデジタル化した設備を想像する方もしれません。

しかし、学校では、電子黒板が主に教材や映像を提示するために使用されている例も多く見られます。文部科学省が公表した電子黒板の活用調査では、授業中の利用方法として「静止画を見せる」が70.6%、「静止画に書き込む」が55.9%でした。一方、「学習課題やねらいを書く」は2.9%、「説明を書く」は14.7%でした。調査時期が古く対象も限定されているため、現在のすべての学校に当てはまる数字ではありませんが、電子黒板が説明資料の提示や、その一部への書き込みに多く使われていたことが分かります。

つまり、電子黒板は「長い文章を継続して書き続けるための設備」というより、デジタル教材や映像を見せ、必要な箇所に補足を加える設備として利用されることが少なくありません。

また、一般企業でも大画面のディスプレイがあるにもかかわらず、商談は手元の紙資料で行われているということは良くある話です。


3. ホワイトボードは「残しておきたい情報」に向いています

電子黒板や大型ディスプレイは、表示する資料をすぐに切り替えられることが特長です。その一方で、画面を切り替えると、先ほどまで表示していた情報や書き込みが見えなくなることがあります。授業や会議では、途中で消さずに残しておきたい情報もあります。

  • 授業の目標、重要な公式
  • 話し合いで出た意見
  • 会議の論点、決定事項

中央の電子黒板で教材やスライドを表示し、その左右のホワイトボードに授業の目標や重要事項を書いておけば、参加者は全体の流れを確認しながら画面を見ることができます。企業の会議室でも、大型ディスプレイにWeb会議の参加者や資料を映しながら、隣のホワイトボードに論点や決定事項を書き出すことができます。

電子黒板が「表示する設備」であるのに対し、ホワイトボードは「考えや情報を残す設備」として機能します。


4. ホワイトボードは、サイズだけでは選べません(設置方式の検討)

ホワイトボードを選ぶ際には、利用人数や部屋の広さに合ったサイズを確認することが基本です。

ただし、大型のホワイトボードでは、サイズと同じくらい「どのように設置するか」が重要になります。特に、すでに電子黒板や大型ディスプレイが設置されている部屋では、既存設備との位置関係、利用者の動線、壁面の状態などを確認したうえで、設置方式を選ぶ必要があります。

① 壁面設置型:教室や会議室を広く使えます

壁に固定する一般的な方式です。脚部がないため床面を広く使うことができ、教室や会議室をすっきりと見せられます。利用する場所が決まっており、長期間同じ位置で使用する場合に適しています。電子黒板の左右にホワイトボードを固定し、中央の画面と一体的に使用する配置も可能です。

② スライド式:限られた壁面を有効に使えます

電子黒板や大型ディスプレイの前後・左右にホワイトボードを移動させる方式です。画面を使用するときはホワイトボードを左右へ動かし、板書を中心に進めるときは画面の前へ移動させるなど、限られた壁面を有効に活用できます。教室前方の壁面が狭い場合や、電子黒板と広い板書面の両方を確保したい場合に適しています。

③ 移動型:複数の場所で使える柔軟性があります

キャスター付きの移動型ホワイトボードは、利用する場所を固定せず、教室や会議室の中で位置を変えられることが特長です。両面を使える製品も多く、表面を板書用、裏面を予定表や掲示用にすることもできます。グループワーク、研修、臨時の会議など、利用方法が変わる場所に向いています。また、壁面への工事を避けたい場合にも選択肢になります。

④ 壁面シート型:柔軟に貼付けが可能です

既存の平らな壁面やスチール面を活かし、ホワイトボードシートを貼り付ける方法もあります。継ぎ目の少ない広い筆記面を作れることや、厚みを抑えられることが利点です。


5. 表面材は「何年間、快適に使うか」で考えます

設置方式とともに確認したいのが、ホワイトボードの表面材です。一般的な大型ホワイトボードには、主に「スチール製」と「ホーロー製」があります。用途のみならず、予算や会計処理も視野に入れて導入を検討される企業も少なからずございます。

  • スチール製(導入価格:抑えやすい/傷・消去性:標準的) 鋼板の表面に特殊な塗装を施したものです。比較的導入しやすい価格帯の製品が多く、使用頻度がそれほど高くない会議室、打合せスペース、予定表などに適しています。一方、長期間にわたって頻繁に書き消しを繰り返すと、細かな傷や消し跡が目立つことがあります。初期費用を抑えたい場合や、将来の部屋の改修・移転を予定している場合に合理的です。
  • ホーロー製(導入価格:高め/傷・消去性:優れている) 鋼板の表面にガラス質の被膜を焼き付けたものです。表面硬度が高く、傷や汚れに強いことに加え、書き味や消去性を長期間維持しやすい点が特長です。毎日の授業で使用する教室、多くの人が利用する講義室、長期間使用する会議室などではホーロー製が有力な選択肢になります。スチール製に比べて、経済的な耐用年数が長期になります。

大型ホワイトボードの交換には、本体代だけでなく、搬入、既存品の撤去、再施工、廃棄処分などの費用もかかります。そのため、使用頻度の高い場所では購入時の価格だけでなく、良好な板面状態を何年間維持できるかという視点が重要です。


(参考) 耐用年数は、実際の使用期間と会計上の取扱いを分けて考えます

ホワイトボードの耐用年数は、次の2つに分けて考えると分かりやすくなります。

  • 実際に使用できる期間: 板面の傷や消し跡、書きやすさ、見やすさなどを踏まえ、快適に使い続けられる期間
  • 会計・税務上の耐用年数: 減価償却の計算などに使用する年数

ホワイトボードは、本体や枠が壊れていなくても、書き跡が消えにくくなったり、傷や光の反射によって文字が見えにくくなったりすると、実用上は交換が必要になります。実際に使用できる期間は、表面素材の違いに加え、使用頻度やお手入れの状況によっても変わります。毎日使用する教室と、月に数回使用する会議室では、同じ製品でも更新時期は異なります。

また、会計・税務上は一律に耐用年数が決まるわけではありません。表面素材や主要構造、移動型か壁面設置型か、建物や内装と一体となった施工かといった点も視野に入れ、実際の製品と設置内容に応じて処理を検討する必要があります。


6. 大型ホワイトボードでは、搬入と施工の確認も欠かせません

大型ホワイトボードは、製品を注文すればそのまま使用できる商品とは限りません。

壁面に十分なスペースがあっても、エレベーターに入らない、階段の踊り場を曲がれない、教室の扉を通過できないといったことがあります。壁面設置型では、壁の下地や耐荷重の確認も必要です。電子黒板の配線、コンセント、スピーカー、扉などとの位置関係も確認しなければなりません。

一度設置した大型ホワイトボードを移動するには、取り外し、再搬入、再施工、壁面補修などが必要になります。設置後に「もう少し位置を変えたい」と思っても、簡単に修正できるとは限りません。そのため、製品を決める前に、現地の状況と実際の使い方を確認することが重要です。


7.主要なホワイトボードメーカー

国内の主要ホワイトボードメーカーとして、プラス、コクヨなどの大手OAメーカーの他、日学・馬印などがございます。伊藤サプライでは、お客様のご要望に応じて、いずれのメーカーの製品も手配することが可能です。

会社名 市場でのポジション・シェア 会社の内容・特徴 公式HP
プラス株式会社
(PLUS)
国内大手 オフィス家具・文具の大手。スチール製・ホーロー製ともに豊富なラインナップ。インテリアに馴染むデザインボードやスマホ連携機能付きボードなど先進的な製品も展開。 PLUS 公式サイト
日学株式会社

 

大手専門メーカー 1957年創業の黒板・ホワイトボード専門老舗メーカー。自社開発の高品質な「アルミホーロー板面」に強み。平滑性・耐久性・消去性能に優れ、壁面大型施工など施工対応力も高い。 日学 公式サイト
株式会社馬印

 

大手専門メーカー 明治創業の老舗板面メーカー。品質にこだわった「国産(日本製)」を強みとし、ホーロー製ボードから脚付き・パーテーション兼用・透明ボードまで多様なニーズに対応する製品群を展開。 馬印 公式サイト
コクヨ株式会社
(KOKUYO)
オフィス家具最大手 オフィス全体の空間デザインと調和する高品質なホワイトボードを展開。フレームレスタイプやモジュール式、マグネットシートタイプなど、多様な働き方に合わせた高いデザイン性と機能性が特徴。 コクヨ 公式サイト
その他メーカー
(ナカバヤシ / ライオン事務器 / マグエックス 等)
専門分野で高シェア 手軽に導入できる卓上用(ナカバヤシ)、マグネットシートや吸着シートタイプ製品(マグエックス)など、特定の用途や手軽さに特化した製品群を展開。 ナカバヤシ
ライオン事務器
マグエックス

8. まとめ:電子黒板の導入後こそ、部屋全体の使い方を考える

電子黒板の普及によって、ホワイトボードの役割がなくなるわけではありません。電子黒板が教材や映像を表示する設備として活用されるほど、その周囲には、目標、重要事項、意見、決定事項などを書き残す場所が必要になります。

大切なのは、電子黒板とホワイトボードのどちらか一方を選ぶことではありません。

「何を画面に表示し、何を手書きで残すのか」を整理し、利用者にとって使いやすい教室や会議室をつくることです。


【導入実績】伊藤サプライでは、電子黒板との併用を含めてご提案します

伊藤サプライでは、ホワイトボード本体を販売するだけでなく、既存の電子黒板や大型ディスプレイとの併用を考慮した板書環境づくりをご提案しています。 

教室や会議室の広さ、利用人数、後方からの見え方、授業や会議の進め方などを確認しながら、適切なサイズ、表面材、設置方式を検討します。壁面設置型、スライド式、移動型のどれが適しているかについても、既存設備との位置関係や利用者の動線を踏まえてご案内します。

必要に応じて、搬入経路や壁面の確認、取付工事、既存の黒板・ホワイトボードの撤去や処分まで一括して対応いたします。

 

 

 


【お問い合わせ・無料現地確認のご案内】

  • 電子黒板の左右に板書スペースを追加したい
  • 教室後方から見やすいサイズを選びたい
  • 壁掛け型と移動型のどちらが適しているか相談したい
  • 既存の黒板やホワイトボードを撤去したい
  • 搬入、設置、廃棄処分までまとめて依頼したい

上記のようなお悩み、および電子黒板を導入した後に板書スペースが不足している場合や、教室・会議室の設備を見直したい場合は、お気軽に伊藤サプライへご相談ください。

お持ちの部屋の間取りや現在の設置写真をお送りいただくだけでも、プロの視点から最適な配置案と概算施工費用をご回答いたします。

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