前回は、大学・学校の映像設備について、100〜120インチ前後になると「プロジェクターで投影する」「大型ディスプレイで直接表示する」の両方が現実的な選択肢になってきたことをご紹介しました。
では、実際の教育機関ではどうしているのでしょうか。「海外の大学では、もうプロジェクターを使っていない」というほど単純な話ではありません。実際の導入事例を調べてみると、画面サイズ・部屋の明るさ・座席配置・授業方法・Web配信・タッチ操作などによって、かなり合理的に設備を使い分けています。今回は国内外の4つの事例から、その使い分けの実態を見ていきます。
事例1|米国州立大学:120型プロジェクターから136型dvLEDへ
米国南東部の大規模州立大学では、約10年間にわたり各教室で120インチスクリーン+プロジェクターを使用していました。ところが設備の老朽化に加え、教室の端や後方に座る学生から「見えにくい」という声が出ていたといいます。
そこで50教室以上の更新にあたり、従来と同じプロジェクターへ単純更新するのではなく、「136インチのDirect View LEDを左右に2面、中央に98インチ4Kディスプレイを1面」という3画面構成へ変更しました。136インチLEDは600nitで前面からモジュール交換できる構造とし、保守性も考慮されています。
メーカー事例のため評価は割り引いて見る必要がありますが、興味深いのは「120インチならプロジェクター」だった教室で、136インチの直接表示型が現実の選択肢になっていることです。この3画面構成は今後の教室更新における標準構成になったと説明されています。

事例2|国立清華大学:教室プロジェクターを135型LEDへ
もう一つ、テーマに近いのが台湾の国立清華大学の「AUO Lecture Hall」です。従来のプロジェクターを撤去し、中心に135インチの大型LEDスクリーン、その左右に86インチのタッチモニターを設置。教員は86インチ画面へ書き込み、その内容を中央へ表示できます。さらに自動追尾カメラ3台と配信システムも導入し、対面と遠隔を同時に行える教室へ刷新しました。
ここで注目したいのは「プロジェクターをLEDに変えた」ことだけでなく、表示装置・タッチ画面・カメラ・配信まで含め「授業をどう行いたいのかから教室全体を再設計している」ことです。大型ディスプレイ導入時は「何インチにするか」より「その画面で何をしたいのか」を先に考える重要性が分かります。

事例3|安田女子大学:南向きはディスプレイ、北向きはプロジェクター
国内で「適材適所」が最も分かりやすいのが安田女子大学の事例です。南向きの講義室は外光が強く、プロジェクターではカーテンを閉める必要がありました。そこで南側には80インチの高輝度ディスプレイを導入し、明るい教室のままノートが取れる環境にしました。
ところが北向きの講義室では、100インチのレーザープロジェクターを23台導入しています。起動が速く、後ろの席からも見やすい点が評価されています。
同じ大学・同じメーカーでも、教室環境に合わせて使い分けています。これは「どちらが優れているか」ではなく、「その部屋にはどちらが合っているか」という最も重要な考え方を示しています。

事例4|琉球大学:表示だけでなく「触る・書く」まで必要なら
琉球大学では、教員を目指す学生に最新の教育ICT環境を体験してもらうため、65インチの「ミライタッチ(電子黒板)」を導入しています。普通の大型モニターの役割が「表示」であるのに対し、インタラクティブディスプレイでは「表示する → 触る → 書き込む → 共有する」ところまで可能です。
学生自身が画面を使って授業案を作りプレゼンを行うなど、ICTの活用を実践しています。つまり映像設備を選ぶ際は、「大きく見せたいのか」「明るく見せたいのか」「画面へ書き込みたいのか」によって必要な機器が変わってきます。

4事例を並べると、選び方が見えてくる
| 事例 | 課題・目的 | 選ばれた方式 |
|---|---|---|
| 米国州立大学 | 120型投影設備の老朽化、後方・側方の視認性 | 136型dvLED×2+98型ディスプレイ |
| 国立清華大学 | ハイブリッド授業、書き込み・遠隔参加 | 135型LED+86型タッチ画面 |
| 安田女子大学 | 教室ごとの採光条件に合わせた視認性向上 | 南側=大型液晶、北側=100型プロジェクター |
| 琉球大学 | 教員志望学生のICT活用体験・相互共有 | 65型インタラクティブディスプレイ(ミライタッチ) |
これらを見ても「プロジェクターから大型モニターへの一方的な移行」とは言えません。「投影する」「直接表示する」「直接操作する」という選択肢が増え、部屋や授業方法に合わせて選べるようになったと考えるのが実態です。
「現在120インチのプロジェクターを使っている」「次回更新もプロジェクターでいいのか分からない」「電子黒板か普通の大型モニターか迷う」といった段階からのご相談も大歓迎です。
「海外だからLED」ではなく、「その部屋だから選ばれた」
今回の4事例で共通しているのは、最新製品を入れること自体が目的になっていない点です。後方の視認性、遠隔授業との連携、窓からの外光、学生のICT操作体験など、先に解決すべき課題があり、その後に設備があります。
ここを逆にすると「100インチが流行っているから」「新しいから電子黒板」となってしまいます。学校の設備は長期間使うものですから、まずは「この教室でこれからどんな授業をしたいのか」から考える必要があります。
大型モニターにするなら、「設置」までが設備です
自由度の高い大型ディスプレイだからこそ、導入前の確認事項を忘れてはいけません。100インチを超えると、製品を購入して終わりではありません。
こうした周辺環境まで含めて初めて「使える設備」になります。特に100〜135インチ級になると、画面サイズの選定と搬入・設置計画を別々に考えることはできません。
伊藤サプライでは「どの商品にするか」より先に、部屋を見ます
伊藤サプライでは大型モニターや電子黒板(ミライタッチ等)、AV関連機器を取り扱っています。しかし「大型モニターを売ること」が最初の目的ではありません。「120インチプロジェクターを替えたい」というご相談でも、確認した結果「今のプロジェクターを活かした方がよい」と判断することもあります。
設備選定では、「何人で使うのか」「最後列まで何mか」「何を表示するのか」「部屋は明るいか」「書き込み・Web会議はするか」といった条件から整理する方が、結果として無駄のない設備導入に繋がります。
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大型モニター・電子黒板・映像設備のご相談
「教室ごとの最適な機器選定」「導入事例を踏まえた比較」「搬入・設置方法」など、検討段階からお気軽にお問い合わせください。
お電話でのご相談: 03-3416-6780(受付時間:平日 9:00〜18:00)
次回は「導入後、誰がその設備を維持するのか」を考えます。現在のレーザープロジェクターは進化していますが、天吊り設備には熱・ホコリ・高所作業・配線など見えにくい保守項目が存在します。次回は「なぜ保守に手間がかかるのか?」について掘り下げます。
ViewSonic(米国州立大学導入事例)/Lumens Digital Optics(国立清華大学導入事例)/Panasonic Connect(安田女子大学導入事例)/ミライタッチ公式(琉球大学導入事例)