法人向けにポータブル電源・発電機の選び方を整理

「とりあえず大容量のポタ電」で本当に大丈夫?

法人・オフィス環境コラム

防災用の電源はポータブル電源だけでいい?
法人向けに発電機との違い・選び方を整理

〜 「商品」ではなく「停電時に何を残すか」から考える 〜

災害時の停電対策というと、最近ではまずポータブル電源を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
スマートフォンを充電する。ノートPCを動かす。Wi-Fi環境を維持する。照明をつける。
最近では大容量・高出力の製品も増え、「防災用に1台用意しておこう」と考える企業も増えていると思います。

もちろん、ポータブル電源は便利です。しかし法人や学校、研究機関などの防災を考えると、「とりあえず大容量のポータブル電源を買っておけば安心」とは限りません。

停電が長期化すればインバーター発電機の方が適している場合もありますし、逆に数時間の停電に備えるだけなら発電機まで準備する必要がないケースもあります。

大切なのは商品を先に決めることではなく、「停電したときに、何を、何時間動かしたいのか」から考えることです。今回はポータブル電源のおすすめ商品を細かく比較するのではなく、法人が非常用電源を準備するときの考え方を整理してみます。

1.伊藤サプライでは、ポータブル電源を無理におすすめしていません

最初に少し、当社のスタンスを書いておきます。
伊藤サプライでも、ポータブル電源についてお問い合わせをいただくことがあります。Ankerやデイトナなど、伊藤サプライで取り扱い可能なメーカーもあります。また、仕入先やメーカー側から特価商品が出ている場合には、通常よりご提案しやすい商品が出てくることもあります。

実は当社でも以前、展示会でポータブル電源メーカーのブースを見つけ、「これは防災用品としてお客様に提案できるのでは?」と思い、意気揚々と仕入れの商談を持ちかけたことがあります。

メーカーの方に「弊社でもぜひ取り扱いたいのですが」とお話ししてみたところ……。まあ、見事なくらい相手にされませんでした(笑)。

考えてみれば当然です。大手量販店や大手EC事業者なら、一度に何百台、何千台という仕入れの話になります。一方、当社は世田谷区の小さな法人向け販売店。「まずは数台から……」では、メーカーさんの目の色も変わりません。こちらは商談のつもりでも、先方からすれば「お問い合わせ、ありがとうございます」くらいの温度感だったのかもしれません(笑)。

さらに言えば、購入するお客様側も、ポータブル電源を一度に何十台も買いそろえたり、毎年大量に買い替えたりするケースはそれほど多くありません。その意味では、Amazonやメーカー直販サイト、家電量販店などで購入すればよい商材という側面もあります。

だからこそ伊藤サプライでは、ポータブル電源を「何でも当社から買ってください」とは考えていません。量販店やECサイトの方が安ければ、そちらで購入する。一方で、当社でAnkerなどの特価品が出ていれば、そのときはご提案する。それでよいと思っています。

当社の役割

そして何より、法人のお客様には「そもそもポータブル電源でよいのか」「発電機の方が適していないか」「停電時に何を残すべきか」というところから一緒に考える。それが、当社のような地域の法人向け販売店の役割ではないかと考えています。

2.ポータブル電源と発電機は、そもそも役割が違う

ポータブル電源と発電機。どちらも停電時に電気を確保するためのものですが、仕組みはまったく違います。
簡単に言えば、ポータブル電源=あらかじめ蓄えておいた電気を使う発電機=燃料を使って、その場で電気をつくるという違いです。

比較項目 ポータブル電源 インバーター発電機
室内での使用 ×(一酸化炭素中毒の危険)
静音性
操作の簡単さ ○(燃料・始動の手間)
スマホ・PC・通信
長時間停電 △ 容量次第(使い切れば終了) ◎ 燃料次第(継続可能)
大きな電力 製品次第 比較的得意
燃料・排気ガス 不要・なし 必要・あり
定期管理 必要(再充電) 特に重要(燃料・試運転)

どちらが優れているという話ではありません。使う場所と目的が違うのです。

3.まず「何Wh買うか」ではなく「停電時に何を残すか」

ポータブル電源を検討すると、「1,000Whで足りますか?」「2,000Whあった方が安心ですか?」と容量の話から入りがちです。しかし法人防災では、順番を逆にした方が分かりやすいと思います。最初に考えるのは、「停電したときに何を残したいのか」です。

例えば一般的なオフィスなら、スマートフォン、ノートPC、Wi-Fiルーター、ONUなどの通信機器、LED照明あたりを維持できれば、最低限の連絡や情報収集、業務継続はできるかもしれません。

一方、冷蔵庫、大型モニター、複合機、ポンプ、電動工具、その他の業務設備まで動かそうとすると、必要な電力は一気に増えていきます。停電時に通常業務を100%再現しようとすれば、非常に大きな電源設備が必要です。

しかしBCPの考え方としては、「通常時と同じ環境をつくる」より、「最低限どの機能を残すか」を決める方が現実的です。

ポータブル電源が向いているケース

ポータブル電源の最大のメリットは、やはり使いやすさです。発電機のように燃料を準備したり、エンジンを始動したりする必要がありません。また排気ガスを出さないため、適切な製品・使用方法であればオフィスや会議室などでも利用できます。

例えば、スマートフォンの充電、ノートPCの使用、Wi-Fi・通信環境の維持、LED照明などを停電時に維持したいのであれば、ポータブル電源は非常に使いやすい選択肢です。特に停電発生直後の数時間を乗り切る電源としては、使い勝手のよい設備だと思います。

注意:「何W出せるか」と「何時間使えるか」は別

ポータブル電源を比較すると「最大2,000W」といった数字が目立ちますが、法人防災ではもう一つ重要な数字「Wh(ワットアワー)」があります。
W = 何を動かせるか
Wh = どのくらいの時間動かせるか
例えば1,000Whなら、100Wの機器なら約10時間、1,000Wの機器なら約1時間(※単純計算・実際は変換ロスあり)となります。「大きなW数が出せる」ことと「長時間使える」ことは別だと覚えておきましょう。

自社のBCPに合わせた「必要な電力」を一緒に整理しませんか?

「停電時にWi-FiとPCだけは維持したい」「導入予定の電源で足りるか不安」など、商品選びの前の整理からご相談を承っております。

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4.では、停電が1日、2日と続いたら?

ここからが、今回の記事で一番考えていただきたいところです。数時間程度の停電であれば、ポータブル電源は非常に便利です。
しかし、停電が1日、2日、場合によっては3日と続いたらどうするのか。

ポータブル電源は、蓄えていた電気を使い切れば再充電が必要になります。ソーラーパネルで充電する方法もありますが、天候や設置環境に左右されます。そこで法人防災では、インバーター発電機という選択肢も考えておきたいところです。

発電機は燃料を使って発電するため、燃料を確保できれば継続的に電気を作ることができます。特に、長時間停電への備え、学校や避難施設、事業所、倉庫、業務用機器、複数機器への給電などでは、ポータブル電源より発電機が適している場合があります。

なぜ「インバーター発電機」なのか

オフィスや学校などでPC・通信機器等を使用することを考える場合、候補になるのがインバーター発電機です。インバーター方式は発電した電気を制御して、比較的安定した電気を供給する仕組みです。そのため、製品の仕様や接続機器の確認は必要ですが、パソコンや電子機器への給電を想定した製品もあります。停電したときに通信手段をどう維持するかも非常に重要であり、発電機も立派な防災設備です。

【ポータブル電源+発電機という考え方もある】

どちらか一つに決める必要はありません。むしろ法人防災では、「停電直後=ポータブル電源」➔「長期化=インバーター発電機」という二段構えも考えられます。停電直後はポータブル電源で通信・PC・照明を維持し、長期化が分かってから屋外で発電機を稼働させる。状況によっては、発電機を利用してポータブル電源を再充電することもできます。

ポータブル電源=初動に強い / 発電機=長期戦に強い

5.ただし、発電機には大きな弱点がある

「それなら発電機も1台買っておけばいい」と思うかもしれませんが、発電機にはポータブル電源とは違う問題があります。それは、「誰が使うのか?」です。

発電機は、倉庫から出す、屋外の安全な場所へ移動する、燃料を確認する、始動する、延長コードを接続する、使用後に適切な処置をするといった作業が必要になります。災害が発生した日に、いつもの防災担当者が出勤しているとは限りません。「発電機を持っている」ことと、「災害時に発電機を使える」ことは別です。

法人で発電機を導入するのであれば、「誰が操作するのか」「どこで運転するのか」「燃料をどう管理するのか」「延長コードはどこにあるのか」「定期的に試運転しているか」まで決めておく必要があります。

【警告】発電機を屋内で使用してはいけない

エンジン式の携帯発電機を屋内で使用してはいけません。排気ガスには一酸化炭素が含まれているため、オフィス内、防災倉庫内、車内、テント内、換気の悪い場所などで使用するのは危険です。法人で備蓄するのであれば、「災害時にどこで運転するのか」まで事前に決めておく必要があります。

6.ポータブル電源を選ぶなら最低限ここを見る

法人防災としてポータブル電源を購入するなら、最低限次の項目は確認しておきたいところです。

  • ① 容量(Wh): 何時間使えるのか。
  • ② 定格出力(W): 何を動かせるのか。起動電力(電源を入れた瞬間の大きな電力)も注意。
  • ③ 出力端子: AC・USBなど、何台同時接続できるか。
  • ④ 充電時間: 使った後、どれくらいで再充電できるか。
  • ⑤ バッテリー寿命: 長期間備蓄する設備だからこそ確認。
  • ⑥ 重量: 大容量ほど重くなる。災害時に誰が運ぶかも考慮。
  • ⑦ 保管・点検方法: 購入後も定期的に残量や動作を確認。

スペック表の数字だけではなく、実際の災害時に誰がどう使うのかまで想像して選ぶことが大切です。

7.正直に言います。伊藤サプライはAnker以外、よく分かりません

ここまでポータブル電源について書いてきましたので、「では、伊藤サプライがおすすめするポータブル電源は?」と思われるかもしれません。ここは、かなり正直に書いておきます。

伊藤サプライは、Anker以外のポータブル電源について、それほど詳しくありません。

当社のような小規模な販売店では、すべてのメーカーの商品を何台も購入して使い比べているわけではありません。それなら、分からないものは「分かりません」と言ってしまった方がいい。そう考えています。「A社とB社ではどちらがおすすめですか?」と聞かれても、十分な根拠を持たずに当社が順位を付けることは避けたいと思っています。

ただし、Ankerは別です。筆者自身、非常時用に準備しているポータブル電源はAnker製品でそろえています。自分でも使っている。ある程度、商品が分かる。そして当社でも販売できる。この3つがそろっています。

「分かるものは売る。分からないものは無理に売らない」

「法人でAnkerのポータブル電源を導入したい」「当社の用途に合いそう?」「特価になっている製品はある?」といったお問い合わせであれば、ぜひご相談ください。カタログの数字だけではなく、実際に使っている立場からお話しできる部分もあります。

もちろん、必ず当社から買ってくださいというつもりもありません。直販やECサイトの方が安ければ、そちらで購入するという選択肢もあります。ただ、Ankerなら責任を持ってお話しできると思っています。「各メーカー取り扱えます」とは言えませんが、分かるものは売る。分からないものは無理に売らない。それでよいと考えています。

8.最後に|非常用電源は「どの商品を買うか」から考えない

ポータブル電源は便利です。インバーター発電機にもメリットがあります。しかし、「どちらを買えば正解」というものではありません。

まず考えたいのは、停電したら何を残したいのか。そして、何時間必要なのか。誰が使うのか。どこで使うのか。そこを決めてから商品を選びます。数時間ならポータブル電源。長期停電まで考えるなら発電機。重要な事業所なら両方。

Anker製品について聞きたいことがある場合や、法人での導入をご検討の場合には、ぜひご連絡ください。そして、「そもそもポータブル電源でよいのか?」「発電機の方がいいのでは?」「停電時に何を残せばよいのか?」というところから考えたい場合も、お気軽にご相談ください。伊藤サプライが販売したい商品から考えるのではなく、お客様が停電時に困らない方法から考える。そのくらいの距離感でご提案するのが、ちょうどよいのではないかと思っています。

防災備蓄・非常用電源のご相談

「停電時に最低限の通信・PCを維持したい」「Anker製品の法人導入を検討している」など、非常用電源や防災設備に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。

※製品の選定やご予算に合わせた構成案のご提案も承っております。

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