防災用品、買ったまま?東京の監査事例から学ぶ点検サイクル

「春は人数、夏秋は備蓄庫」!
期限切れや人数不足を防ぐ5つの点検項目

法人防災・実務チェックガイド

防災用品、買ったままになっていませんか?

〜 東京都の監査事例から考える、失敗しない「定期点検」の進め方 〜

前回の記事では、東京都・神奈川県の条例をもとに、企業にも水・食料などの防災備蓄への取組が努力義務として求められていることをご紹介しました。

では、防災用品は一度揃えれば、それで終わりなのでしょうか。

伊藤サプライでは、過去に防災用品をお納めしたお客様についても、当社の納入・管理記録をもとに、一定期間が経過した際には補充や入替えも視野に入れてご案内しています。
なぜなら、防災用品は購入したときには十分でも、数年経つと状況が変わるからです。

「社員や学生の人数が変わった」「非常食の期限が近づいた」「倉庫に何があるのか分からなくなった」「発電機を何年も動かしていない」――。
こうしたことは、実際に起こります。そして東京都の監査(都立学校対象)では、まさに「備蓄しているのに、管理が十分ではない」事例がいくつも見つかっています。

今回はその監査事例から、企業や学校の防災用品について、何を、いつ確認するとよいのかを考えてみます。

1.東京都教育委員会も「備蓄」と「点検」を分けて考えている

まず興味深いのが、東京都教育委員会の「学校危機管理マニュアル」です。震災への事前準備を見ると、「物資の備蓄」と「日常の点検」が別々の項目として設けられています。

つまり、公的機関でも「買うこと」と「使える状態にしておくこと」は別の仕事であると認識しているということです。

これは学校だけではなく、多人数分の防災用品を持つ企業にもそのまま参考になる考え方です。

物資の備蓄と日常の点検

2.実際の監査で、何が問題になったのか

東京都の監査事務局が実施した定例監査では、防災用品に関して次のような事例が指摘されています。いずれも、単純に「防災用品を持っていなかった」のではなく、持っていたけれど管理に問題があったという点に注目すべきです。

実際に監査で指摘されたこと(失敗事例) 企業・学校で自社に置き換えて考えるポイント
資機材の一部が備蓄品一覧表に載っていない 「倉庫の奥にあるもの」まで把握できているか
一覧表はあるが、使用期限・保管場所の記載がない 台帳(管理簿)で期限・場所を一元管理できているか
カセットボンベの使用期限が切れていた 食品以外の「期限がある用品」も確認しているか
備蓄食料・水の保証期限が切れていた 入替えの計画と時期をシステム等で管理しているか
非常用発電機の操作の習熟訓練をしていない 「持っている機器」を災害時に誰でも使えるか
毛布が必要数不足していたが、必要数を確認していない 「購入時」ではなく「現在」の人数に対して足りているか

3.伊藤サプライ流「春は人数を見る。夏〜秋は備蓄庫を見る。」

企業の防災備蓄について、「毎年○月に点検しなければならない」という全国一律の法定スケジュールがあるわけではありません。

防災用品の管理で大切なのは、毎年すべてをゼロから確認することではなく、時期ごとに重点を変えて**通常業務に組み込みやすい点検サイクル**を作ることです。
これは公的資料の引用ではなく、伊藤サプライがお客様の実務に寄り添う中で提唱している考え方です。

春(新年度)――「人数」を確認する時期春は新入社員や新入生が加わり、企業の採用・異動、学校の学生数が確定する時期です。

  • 主に見るもの:非常食、飲料水、携帯トイレ、ヘルメット、個人用防災セット
  • 確認ポイント:新年度の確定人数に対し、必要数量が足りているか(過不足の確認)
夏〜秋(防災週間前後)――「備蓄庫」を確認する時期新年度のバタバタが落ち着き、夏休みや9/1の「防災の日」をきっかけに点検しやすい時期です。

  • 主に見るもの:毛布、ライト、ラジオ、救急用品、発電機、ポータブル電源、資機材
  • 確認ポイント:倉庫全体の棚卸しを行い、期限・動作・状態・保管場所が適正か

毎年ゼロから点検するより、この「二段構え」の方が、企業や学校の通常業務にも組み込みやすいはずです。

4.定期点検では、この5つの項目を見る

東京都の監査事例を一般企業・学校向けに置き換えると、見るべきポイントはシンプルに5つです。

  1. 【数量】: 現在の社員数・学生数等の必要数に足りているか。
  2. 【期限】: 食料、水、ボンベ、電池、救急用品等の期限に問題がないか。
  3. 【台帳】: 実際にある現物と、管理簿(台帳)の記載内容が一致しているか。
  4. 【保管場所】: 必要なときに誰でも取り出せる場所か。レイアウト図等はあるか。
  5. 【状態・動作】: ライトは点灯するか。発電機は動くか。資機材はすぐに使える状態か。

この5項目をチェックするだけでも、「倉庫に入っているから大丈夫」から一歩進んだ、災害時に本当に使える管理になります。

定期点検の5つのポイント

5.全部買い替える必要はありません。使えるものを残す「管理」

点検というと、「また全部買い直すの?」と思われるかもしれません。そうではありません。
点検で大切なのは、新しい商品を買うことではなく、今ある備蓄を災害時に使える状態に維持することです。

点検の結果、「毛布は問題なし」「非常食は来年交換」「携帯トイレは人数増で追加」というように、必要なものだけを追加・交換していけばよいのです。

6.伊藤サプライは「購入後も使える状態」を継続サポートします

伊藤サプライでは、防災用品をお納めしたお客様について、当社の納入・管理記録をもとに、一定期間経過後に補充や入替えが必要ではないかという視点でご連絡することがあります。
なぜなら、防災用品は「一度買って終わり」の商品ではないからです。

「最初に何を揃えるか」と、「その後も使える状態をどう維持するか」春には人数を見る。夏から秋には備蓄庫を見る。そして必要なものだけ補充する。
伊藤サプライでは、新規の防災用品の選定・見積・一括手配だけでなく、その後の補充・入替えまで視野に入れた、法人の防災備蓄を継続的に整えるお手伝いをします。

防災用品は、買った日に完成するものではありません。
災害が起きた日に、必要な数があり、期限が切れておらず、実際に使える。
そこまで維持して、初めて「備蓄」なのだと思います。

防災備蓄のご相談・お見積り

「自社の備蓄が今の従業員数に足りているか不安」「期限切れ間近の用品を買い替えたい」など、ご検討段階からお気軽にご相談ください。

※掲載されている情報は、メーカー資料・公的発表時点の内容です。実際のお見積り時には最新の仕様・在庫をご確認ください。

参考資料:東京都監査事務局「令和6年定例監査報告書」 / 東京都教育委員会「学校危機管理マニュアル」 / 目黒区「防災資機材格納庫管理のガイドライン」
電話で相談(平日9〜18時)