電子黒板を導入したいものの、
「数十万円から100万円を超える設備となると、簡単には決裁できない」
そんな企業も多いのではないでしょうか。
そこで気になるのが、補助金・助成金です。
実際に「電子黒板 補助金」などと検索すると、業務改善助成金、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、小規模事業者持続化補助金などが紹介されています。いずれも有名な制度です。
しかし、本当に電子黒板の導入に向いているのでしょうか。
例えば、高い助成率が魅力でも、その代わりに毎年の人件費が増える制度があります。一方、比較的利用しやすそうなIT系補助金でも、電子黒板そのものが補助対象になりにくい制度があります。
つまり、「制度上利用できる可能性がある」ことと、「会社にとって本当に経済的メリットがある」ことは同じではありません。
そこで本記事では、補助金・助成金の特性を鑑み、都内の中小企業を対象に、
「申請しやすい補助金は何か?」ではなく、「その制度を利用することが、本当に経営改善や生産性向上につながるのか?」という視点から考えてみます。
一目でわかる|電子黒板導入で検討できる主な制度
| 制度 | 電子黒板との相性 | 制度の主目的 | 電子黒板導入でのポイント | 公式情報 |
|---|---|---|---|---|
| 業務改善助成金 | ★★☆☆☆ | 生産性向上+賃上げ | 高い助成率だけでなく、その後の賃金負担まで考える | 厚生労働省 |
| デジタル化・AI導入補助金 | ★★☆☆☆ | ITツール導入・DX | 電子黒板単体では難しい。登録ITツール・IT導入支援事業者が基本 | 公式サイト |
| 小規模事業者持続化補助金 | ★★★☆☆ | 販路開拓 | 社内会議効率化だけでは弱い。売上・販路との関連が必要 | 公式サイト |
| 中小企業省力化投資補助金・一般型 | ★★★★☆ | 人手不足解消・省力化 | 電子黒板で具体的にどの業務・時間を削減するか | 公式サイト |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | ★★~★★★☆☆ | 新製品・新サービス・新市場 | 単なる電子黒板購入ではなく、新事業等が主役 | 公式サイト |
| 東京都 DX推進助成金 | ★★★★☆ | DX・生産性向上 | 電子黒板+Web会議+クラウド等、業務全体のDXとして考える | 東京都振興公社 |
| 東京都 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 | ★★★☆☆ | 競争力強化・生産性向上 | 比較的大きな設備・システム投資向け | 公式サイト |
※上記は制度そのものの優劣ではなく、「一般的な企業が電子黒板を導入する」という観点から当社が整理した目安です。
1.使いやすそうに見える補助金、本当に電子黒板向き?
まず、「電子黒板 補助金」と検索した際によく見かける制度から見てみましょう。
どれも有名な制度ですが、「使いやすい制度」=「電子黒板に向いている制度」とは限りません。
業務改善助成金|補助率だけを見ると魅力的。しかし、本当に得?
業務改善助成金は、事業場内最低賃金を引き上げるとともに、生産性向上につながる設備投資等を行う中小企業・小規模事業者を支援する制度です。
2026年度は、事業場内最低賃金を50円以上引き上げることが基本となり、引上げ額や対象労働者数などによって助成上限額が変わります。
電子黒板についても、会議資料作成・印刷作業の削減、情報共有の効率化、遠隔会議による移動時間の削減など、生産性向上との関連を具体的に説明できる場合には検討余地があります。
賃上げは一度きりの費用ではありません
例えば、5人の従業員について時給を50円引き上げると、年間で48万円の給与負担増となります(50円×160時間×12か月×5人)。さらに会社負担の社会保険料等も増加します。この負担は助成金を受給した年度だけで終わらず、翌年以降も継続します。
| 項目 | 金額例 |
|---|---|
| 設備価格 | 100万円 |
| 助成額 | +75万円 |
| 設備の自己負担 | ▲25万円 |
| 専門家報酬(仮に20%) | ▲約15万円 |
| 年間の賃金上昇額(5人・50円UPの例) | ▲48万円 |
| さらに会社負担の社会保険料等 | 増加 |
こうして考えると、「75万円助成される=75万円得をする」とは限りません。
もともと賃上げを予定していた企業でなければ、電子黒板を安く購入するために予定していなかった賃上げを行うのは、数年間にわたる人件費負担まで含めて経済効果を計算すべきでしょう。
単純に耐用年数5年と考えれば、75万円の助成金を得るために、255万円(人件費増加分5年分+専門家報酬15万円)の費用増加を引き起こすことになります。
デジタル化・AI導入補助金|電子黒板は「完全にダメ」ではないが…
旧IT導入補助金であるデジタル化・AI導入補助金は、制度の中心がソフトウェアやシステムなどのITツール導入です。電子黒板を単体で購入するための補助制度として考えると少し違います。
インボイス対応類型などでハードウェアも一部補助対象になりますが、対象ソフトウェアの利用に資することが条件です。
「必要なITツールを導入し、それを活用するために必要なハードウェアとして電子黒板を組み込む」という順番で検討する必要があります。
小規模事業者持続化補助金|比較的身近だが「販路開拓」につながるか?
この制度は、経営計画に基づく「販路開拓」等の取組を支援するものです。
社内会議を効率化するためだけに電子黒板を導入するのでは、制度目的との結び付きが強くありません。
商談時の商品説明の高度化、ショールームでの提案活用、オンライン商談による商圏拡大など、具体的な販路開拓や売上増加にどう繋げるかを明確に示せる場合に検討余地が生まれます。