法人・オフィス環境コラム
会議室用スピーカーフォン6機種比較
人数・会議室の広さで選ぶなら?
前回の記事では、AIによって資料作成の質が底上げされ、Web会議ではカメラOFFも珍しくなくなった今、相対的に「音」の重要性が高まっているのではないか、という話をしました。では、実際に会議室の音を良くするなら、何を選べばよいのでしょうか。
今回はかなり具体的にいきます。Jabra、サンワサプライ、オーディオテクニカ、YAMAHAから、法人の会議室で使いやすいスピーカーフォン6機種を比較しました。
ただし、今回あらためて各メーカーの仕様を調べてみて分かったことがあります。それは、「6人で会議するから、6人対応のスピーカーフォンを買えばいい」という選び方では不十分だということです。
同じ6人でも、「直径1.2mの丸テーブルを囲む6人」と「3mの長机に並ぶ6人」では、最も遠い人とマイクとの距離がまったく違います。さらに、マイクの数、収音距離、エコーキャンセラー、ノイズ低減、フルデュプレックス、残響抑制、複数台連結など、製品によって考え方がかなり違います。
そこで今回は単純な価格比較ではなく、「どんな会議室なら、どの製品が向いているのか」という視点から6機種を見ていきます。
まず6機種を比較
| 製品 | 想定規模 | 収音の目安 | マイク | 主な音声処理・特徴 | 拡張性 |
|---|---|---|---|---|---|
| Jabra Speak2 55 | 小〜中 | 最大2.3m | MEMS×4 | Full Duplex・AEC・AGC・ノイズ低減 | ー |
| サンワ MM-BTMSP6 | 小〜中 | 最大約5m | 全指向性×4 | AEC・AGC・ANC | ー |
| Jabra Speak2 75 | 中 | 最大2.5m | MEMS×4 | Full Duplex・AEC・AGC・残響低減・SWB | 2台リンク可 |
| AT-CSP7 | 〜6人推奨 | 半径1m(最大2m) | MEMS | ビームフォーミング・AGC・ノイズ低減・AEC | 2台で最大12人 |
| YAMAHA YVC-330 | 4〜10人程度 | 推奨1.5m(最大3m) | 単一指向性×3 | AEC・AGC・残響抑圧・SoundCap | 外部入出力あり |
| サンワ MM-WLMSP2 | 6〜12人 | 半径約5m | MEMS×6 | Full Duplex・AEC・AIノイズ低減 | 最大3台 |
※メーカーが示す人数・収音距離は使用環境や条件によって変わります。
自社の会議室環境に合ったスピーカーフォンを選定しませんか?
「会議室の広さにどの機種が合うか相談したい」「複数台構成の提案・見積がほしい」など、伊藤サプライがお部屋のレイアウトに合わせてご提案します。
- 1.そもそも「6人用」の6人とは?
- 2.① Jabra Speak2 55|小会議室でバランスがいい
- 3.② サンワサプライ MM-BTMSP6|低価格でも機能はかなり多い
- 4.③ Jabra Speak2 75|55との違いは「人数」より音声処理
- 5.④ オーディオテクニカ AT-CSP7|長いテーブルに面白い
- 6.⑤ YAMAHA YVC-330|スペック表だけでは分かりにくい製品
- 7.⑥ サンワサプライ MM-WLMSP2|大人数では「1台の性能」から離れる
- 8.マイクが4個なら、3個より高性能なのか?
- 9.AEC・AGC・ノイズリダクションは何が違う?
- 10.BluetoothとUSB、会議室ならどちらがいい?
- 11.Teams・Zoom認証は必要?
- 12.実はスピーカーフォンが向いていない会議室もある
- 13.結局、伊藤サプライならどれを勧める?
- 14.最後に|人数ではなく「会議室」を見て選ぶ
1.そもそも「6人用」の6人とは?
最初にここを理解しておくと、製品選びがかなり分かりやすくなります。スピーカーフォンで重要なのは、人数そのものより「人とマイクとの距離」です。
例えば6人が小さな丸テーブルを囲み、その中央にスピーカーフォンを置けば、全員がマイクから1m程度に収まるかもしれません。しかし、長い会議テーブルに6人が座れば、端の人はスピーカーフォンから2〜3m離れることがあります。
つまり、4人用、6人用、10人用という数字だけでは、実際の会議室への適合性は判断できません。メーカーが示している「推奨収音距離」も合わせて見る必要があります。これは今回の6製品を選ぶうえで、最も重要なポイントだと思います。
2.① Jabra Speak2 55|小会議室でバランスがいい
2〜4人程度を中心とした小さめの会議室で、まず候補にしやすいのがJabra Speak2 55です。メーカーが想定する会議室サイズは最大4.5m×4.5m。4個のデジタルMEMSマイクを搭載し、収音範囲は最大2.3mです。フルデュプレックス、AEC(音響エコーキャンセラー)、AGC(自動ゲイン制御)、通話時ノイズ低減を搭載。意外に見落としやすいIP64の防塵・防水性能も備えています。

「フルデュプレックス」は何が違う?
Web会議で双方同時に話した場合でも、片方の音声が途切れたり不自然に小さくなったりせず、会話を成立させやすくする仕組みです。会議が活発になるほど重要になります。
3.② サンワサプライ MM-BTMSP6|低価格でも機能はかなり多い
価格を抑えたい場合に候補になるのが、サンワサプライ MM-BTMSP6です。4個の全指向性マイクを搭載し、360°方向、最大約5mの集音に対応。最大約6人程度を想定し、AGC、AEC、ANC、Bluetooth、USB有線接続に対応します。

注意点:「最大5m」=5m離れても同じ音質、ではない
「最大集音距離」は声を拾える目安であり、近距離と同じ明瞭度を保証する意味ではありません。エアコンや反射音も入るため、収音距離の数字だけで広部屋対応と判断するのは避けましょう。
4.③ Jabra Speak2 75|55との違いは「人数」より音声処理
Speak2 55の上位モデルがSpeak2 75です。収音距離は55の最大2.3mに対し、75は最大2.5mとわずか20cmの差です。つまり「大人数用だから高い」のではなく、音そのものの処理能力が強化されています。
65mmスピーカー、残響音低減、送受信双方のAGC、最大16kHzのスーパーワイドバンド、マイク品質インジケーター等を搭載。さらに2台リンク機能により、2台を接続して長いテーブルでの音声カバレッジを広げることができます。
5.④ オーディオテクニカ AT-CSP7|長いテーブルに面白い
推奨距離は半径1m以内、最大2m。推奨最大人数は6名です。ビームフォーミング(発言者へ自動フォーカス)、ノイズリダクション、AGC、エコーキャンセラーを搭載しています。
特徴的なのは「2台連結」です。USBケーブルで2台連結すると最大12人に対応し、親機でミュートすると子機も連動します。長机に8人が座る場合、中央に1台置くよりテーブルの左右に1台ずつ配置する方が各参加者とマイクの距離を短くできます。「高性能なマイクを遠くに置くより、マイクを人へ近づける」という非常に合理的なアプローチが可能です。Zoom Certifiedも取得しています。

6.⑤ YAMAHA YVC-330|スペック表だけでは分かりにくい製品
4〜10名程度の小規模遠隔会議向けとし、会議室では6名程度が目安。スタンダードモードでは推奨1.5m以内(最大3m・360°)、3個の単一指向性マイクを使用します。適応型エコーキャンセラー、ノイズリダクション、マイク自動追尾、AGC、残響抑圧、SoundCapを搭載しています。

SoundCap機能とは?
オープンオフィスやフリーアドレス席など、周囲の雑音が多い場所を想定した機能。収音範囲を1m以内に絞り、周囲の不要な音の影響を抑えて快適に会話できます。「余計な音をどう処理するか」に価値がある製品です。
7.⑥ サンワサプライ MM-WLMSP2|大人数では「1台の性能」から離れる
高性能MEMSマイクを6個搭載し、6〜12名を想定。Full Duplex、エコーキャンセリング、AIノイズリダクションを搭載。最大の特徴は専用レシーバー1つに最大3台まで無線増設できる点です。
10人が長い会議テーブルを囲む場合、中央の1台だけでは端の人まで3m離れてしまいます。大会議室ではマイク性能を上げるだけでなく、マイクそのものを複数配置する考え方が重要になります。
8.マイクが4個なら、3個より高性能なのか?
「6個>4個>3個」と単純には言えません。マイク数は指向性、配置、ビームフォーミング、ノイズ処理、残響処理などと組み合わせて意味を持ちます。YVC-330は3マイクですが、単一指向性と自動追尾・残響抑圧を組み合わせ高音質を実現しています。「マイク数が多い製品を買えばいい」という選び方はおすすめできません。
9.AEC・AGC・ノイズリダクションは何が違う?
- AEC: スピーカー音をマイクが拾って発生するエコーを防止。
- AGC: 小さな声は大きく、大きすぎる声は抑えて音量を均一化。
- ノイズリダクション: エアコンやPCファンなどの環境音を低減。
- 残響抑制: 壁やガラスの反射音を減らし声を明瞭化。
- ビームフォーミング: 話している人の方向へ集音を集中。
10.BluetoothとUSB、会議室ならどちらがいい?
固定会議室で毎回同じPCを使うなら、挿せばすぐ動くUSB接続中心が安定します。一方、日によって持ち込むPCやスマホが変わる場合はBluetoothが便利です。「固定会議室 ➔ USB中心」「持ち運び・BYOD ➔ Bluetooth併用」という整理が適しています。
11.Teams・Zoom認証は必要?
認証がなくても動作は可能ですが、認証モデルでは本体ボタンでのミュート連動や通話操作などの動作確認が担保されています。社内の標準ツール(Teams/Zoom等)に合わせて認証モデルを選ぶとトラブルを減らせます。
12.実はスピーカーフォンが向いていない会議室もある
20人以上の大会議室、天井が高い、ガラス面が多く反響が強い、講義室などでは、卓上スピーカーフォンだけでの対応は困難です。この場合はマイク・スピーカー・DSPを含めた会議室音響設備(施工)を検討する必要があります。4〜6人程度の一般的な部屋ならスピーカーフォン1台で劇的に改善します。
13.それでは何を選ぶか?

14.最後に|人数ではなく「会議室」を見て選ぶ
「何人用か」だけでなく、「何人いるか ➔ どこに座るか ➔ マイクまで何mあるか ➔ 部屋の反響や雑音 ➔ 1台か複数台か」まで考えて選ぶことが失敗を防ぐ第一歩です。
【伊藤サプライでは、会議室を見て比較・ご提案します】
「6人、テーブル長2.4m、Teams中心、65インチモニター設置済み」といった実際の会議室環境を教えていただければ、最適な機種や複数台構成のご提案が可能です。Webカメラ、大型モニター、電子黒板等を含めた会議室全体の環境構築までトータルでサポートいたします。
Web会議・会議室音響設備のご相談
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※製品の選定やご予算に合わせた構成案のご提案も承っております。