法人・学校向け 設備選定・比較ガイド
会社・学校向け非常用トイレ・関連用品10選
前回の記事では、災害用トイレについて「どの商品を買うか」より、まず「誰が・どこで・何回使うか」を考えることが重要だと書きました。
東京都総務局の「事業所防災リーダー通信」では、非常用トイレは「1人1日5回×3日間=15回分程度」の備蓄を目安としています。
つまり、50人なら750回分、100人なら1,500回分です。
Amazonなどで「100回分」と書かれた箱を見ると多く感じますが、50人の会社なら100回分の商品でも単純計算で7.5箱分必要になります。
増そして今回、実際の商品群を改めて見比べてみると、「非常用トイレ」と呼ばれる商品の中身が、思った以上に違うことが分かります。
そこで今回は、伊藤サプライで取り扱い・提案対象となる商品や、市場で評価されている代表的な商品から、特徴の異なる10商品を5カテゴリーに分けて比較してみます。
これは売上順位によるランキングではありません。会社・学校が「何を組み合わせればよいか」を考えるための代表例10選です。
市販ランキングを見て分かった「家庭用」と「法人向け」の違い
家庭向けの商品比較や市販ランキングでは、主に「一つの商品としてどれだけ優秀か」を評価しています。これは家庭備蓄としては当然です。
しかし、50人、100人という会社・学校の備蓄では、そこにもう一つ、「施設全体で3日間、トイレを止めずに運用できるか」という視点が必要になります。その違いを意識しながら実際の商品を見てみましょう。
1.非常用トイレを5タイプに分けてみる
この5つは、どれか一つが優れているという関係ではありません。災害時にどの場所で、誰が使うのかによって役割が違います。
| タイプ | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| ① 既存便器セット型 | オフィス・学校 | 既存の洋式便器を使用。省スペースで大量備蓄向き |
| ② 処理・防臭工夫型 | オフィス・避難所 | 吸水シートや防臭袋など、使用後の処理・保管を工夫 |
| ③ 携帯・個人型 | 営業車・外勤者 | 小型で持ち歩ける |
| ④ 独立便座・組立型 | 体育館・倉庫等 | 既存便器がなくてもその場にトイレを作れる |
| ⑤ テント・仮設空間型 | 学校・避難所 | プライバシー(個室空間)そのものを追加できる |
① 既存便器セット型(まず会社で備える基本タイプ)
建物は安全で個室も使えるが、「断水・排水管損傷で水を流せない」場面で最も使いやすい基本商品です。

1.キングジム「KOKOBO 災害トイレセット(100回分)TLS-400」
100回分をA4ファイルサイズに収納
汚物収納袋100枚、凝固剤100個、廃棄用大袋5枚のセット。最大の特徴は、100回分を「A4ファイルサイズ」にまとめている点。オフィスのキャビネットに収納しやすく、法人の大量備蓄で問題になりやすい「置き場所」を解決します。50人なら約8セットで足ります。

2.シモジマ「HEIKO 非常用トイレセット 50回分」
数量調整しやすいシンプルな50回セット
排泄袋50枚、凝固剤50袋、処理袋10枚の基本構成。「100回単位では数量調整しにくい」という施設でも使いやすい商品です。非常にオーソドックスで、まず必要回数を確保するための主軸と考えやすいタイプです。
② 処理・防臭型(今は「固める」だけでなく「その後」が重要)
50人で750回、100人で1,500回。災害時にはそれだけの使用済み排泄袋が発生します。避難生活で深刻な問題になるのが、その「臭いと一時保管」です。

3.ハウスホールドジャパン「緊急用トイレセット WC10」
抗菌凝固剤+防臭袋で臭いをWブロック
便器内の水に触れないよう「水よけ用の袋」をセットし、汚物袋をかぶせる丁寧な構造。排泄後に抗菌タイプの凝固剤を入れ、取り出した袋をさらに「臭いを通しにくい袋」へ入れて処理します。「ちゃんと固まるか」だけでなく、「その後どう保管するか」まで考えた構成が分かりやすい商品です。

4.遠興「BO-SYULET(ボウシュレット)」
汚物袋をさらに防臭袋で包み込む
便器カバー、汚物袋、凝固剤に加え「防臭袋」までセットになった防臭重視型。使用済みの汚物袋をさらに防臭袋へ収納する二重構造です。「固まったから終了」ではなく、避難所でのゴミ保管時の悪臭を防ぐことまで考えられた製品です。
③ 携帯・個人型(会社の750回分とは別に考える)
営業中、出張中、車移動中、帰宅途中。会社の倉庫に750回分あっても「トイレにたどり着けない」場面で必要な個人携帯用です。

5.シエラ「メンズホスケアトイレ」
車移動や外出時を明確に想定
ロール状でコンパクト。吸収パッドで排泄物を固め、ひも付き袋で処理します。営業車や長距離移動の多い社員向けに。

6.アーテック「ジッパー付簡易携帯トイレ」
防災バッグへのパーソナル配備に
約700mL対応の携帯型。袋へ直接排泄するため便器が不要です。社員個人の防災ポーチへ数個ずつ配備する用途に向いています。
④ 独立便座・組立型(便器そのものが使えない場合)
既存便器型は大量備蓄に向いていますが、便器が破損した、トイレのある建物へ入れない、体育館に臨時トイレを追加したいという状況では使えません。

7.三和製作所「くるくるトイレ 100枚入」
100回分の外箱がそのまま「洋式便座」になる
袋の底に吸水シートがセットされており、凝固剤を振りかける手間がありません。最大の特長は、100枚入りの外側ダンボール箱自体を洋式便座として組み立てられること。「既存便器でも使える」「便器がなければ外箱を便座にする」という二段構えが可能です。

8.アーテック「ATプラダントイレ 30回セット」
水濡れに強いプラスチックダンボール製便座
紙製ではなくプラダンを使用しているため、水や湿気に強いのが特長です。簡易便座、凝固剤30個、汚物袋、消臭袋がセットになっています。体育館、倉庫、工場など、屋内でも床が濡れる可能性のある場所でメリットがあります。
⑤ テント・プライバシー型(トイレ対策は便座だけではない)
便座と凝固剤があっても、「人から見えない場所」がなければ安心して使えません。人間の尊厳・プライバシー空間を確保するテントです。

9.キングジム「KOKOBO 縦横使える防災テント BTN100」
トイレ・着替え・休息を1張で
縦置きならトイレ・更衣室、横置きなら休息・睡眠スペースになる2WAYテント。透けにくいシルバーコーティング生地を採用し、内部にはペーパーホルダー等も備えています。

10.キングジム「KOKOBO 屋根が開く防災テント BTN200」
大人3人まで入れる広いプライバシー空間
BTN100よりも広いタイプで、屋根部分はファスナーで開閉でき、採光や換気にも対応します。トイレ用テントと生活用プライバシー空間(着替えや乳幼児の世話)を共通備蓄にする考え方に適しています。
まとめ:50人の会社なら「組み合わせ」で考える
一番安い非常用トイレを750回分買えば終わり、という単純な話ではないことが分かります。
50人のオフィスなら、以下のような「組み合わせ」が合理的です。
- 【主力】: 既存便器用非常トイレ 約700〜750回分
- 【予備】: 独立組立便座 2〜3台
- 【プライバシー】: テント型 1〜2張
- 【外勤社員】: 携帯型を営業車・防災バッグへ
必ずこの数が正解という意味ではありません。大切なのは、商品を選んでから数量を考えるのではなく、施設条件から商品の構成を決めることです。
伊藤サプライでは「おすすめ1位」より組み合わせを考えます
伊藤サプライでは、今回ご紹介した非常用トイレ・簡易便座・テント類をすべて手配可能です。
しかし、「100回セットを何箱ください」と商品を決めた状態でご相談いただく必要はありません。
最大何人いるか、既存トイレは何室か、使用済み袋をどこへ保管するか、外勤社員はいるか、テントは必要か。
本当に考えたいのは、「750回分の商品を買うこと」ではなく、「50人が災害後3日間、安心して750回トイレを使える状態を作ること」です。「今ある100回セットに何を追加すればいい?」という段階からご相談ください。
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