企業の防災備蓄というと、水、食料、簡易トイレ、毛布などがまず思い浮かびます。一方、意外と選びにくいのが防災用ヘルメットです。
通販を見ると、「防災用」「折りたたみ式」「国家検定合格品」「A4サイズ収納」など、さまざまな表示があります。価格も形もかなり違います。では、会社や学校で備蓄する場合、何を基準に選べばよいのでしょうか。
今回から3回に分けて、以下を考えてみます。
- 第1回:ヘルメットの安全基準と選び方
- 第2回:主要メーカー製品の比較
- 第3回:企業での保管・備蓄方法

まず知っておきたい。「防災用」という一つの規格があるわけではない
一般には「防災用ヘルメット」と呼ばれていますが、「防災用」という一つの国家規格があるわけではありません。厚生労働省が示す保護帽には、主に次の2種類があります。
| 区分 | 主に想定している危険 | 構造上の特徴 |
|---|---|---|
| 飛来・落下物用 | 物が飛んでくる、上から落ちてくる | 落下物等から頭部を保護 |
| 墜落時保護用 | 墜落・転倒などによる頭部への衝撃 | 衝撃吸収ライナーを備える |
| 両方に対応 | 上記双方 | 製品の検定表示を確認 |
「飛来・落下物用」「墜落時保護用」とも、厚生労働省の「保護帽の規格」に基づく型式検定の対象です。検定合格品には、用途を記載した検定合格標章が付されています。
つまり、「防災用と書いてあるから安心」ではなく、何の国家検定に合格しているのかを見る。ここが最初のポイントです。
地震なら「墜落時保護」まで必要なのか?
ここは少し悩むところです。地震時には、棚や天井から物が落ちてくることが考えられます。一方で、避難時には階段や段差、散乱した物による転倒なども考えられます。
厚生労働省の資料では、墜落時保護用には衝撃吸収ライナーがあり、転倒・墜落時の頭部への衝撃を軽減する構造になっています。
したがって防災備蓄では、価格や収納性と合わせて、「飛来・落下物用だけでよいのか」「墜落時保護まで対応させるのか」を比較した方がよいでしょう。第2回で紹介する製品も、実はここに違いがあります。
防災用ヘルメットを選ぶ7つのポイント
選定項目を整理すると、次の7つ程度に集約できます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| ① 国家検定 | 飛来・落下物用/墜落時保護用 |
| ② サイズ | 頭囲の調整範囲 |
| ③ あごひも | 確実に固定できるか |
| ④ 収納性 | 通常型/折りたたみ/箱型 |
| ⑤ 展開性 | 緊急時に迷わず組み立てられるか |
| ⑥ 重量 | 長時間着用した際の負担 |
| ⑦ 管理性 | 購入時期・使用開始時期・交換目安 |
全部重要ですが、オフィス防災では特に「安全性能・収納性・展開性」の3つが比較しやすいと思います。
オフィスでは「収納性」が想像以上に重要
工事現場では、ヘルメットを日常的に使います。しかし企業の防災備蓄では、何年間も保管したままになる可能性があります。例えば100人分の通常型ヘルメットを並べれば、かなりのスペースを使います。そこで選択肢になるのが、折りたたみ式・薄型収納タイプです。
今回、伊藤サプライで作成した比較資料でも、単なる安全性能だけではなく、書棚に入るか。キャビネットに入るか。デスクの引き出しに入るか。まで比較しました。
例えばミドリ安全「フラットメット3」は、弊社資料では厚み79mmのA4箱型として整理しており、書棚やデスク引き出しへの保管を想定しています。

ここで大切なのは、「折りたたむと何cmか」だけではありません。
地震が発生したとき、倉庫の奥から段ボールを探すのか。それとも、自分の机や近くのキャビネットからすぐ取り出せるのか。企業防災では、収納効率+取り出しやすさまで考えた方が実務的です。
「倉庫に入りきらない」「各部署に分散して置きたい」といったお悩みに、A4サイズ収納などの省スペースヘルメットをご提案します。
折りたたみ式は「展開のしやすさ」も確認したい
収納が薄くても、非常時に組み立て方が分からないでは困ります。製品によって、押す。引き上げる。ロックする。頭囲を調整する。といった展開方法が異なります。
特に普段使わない備蓄品ですから、購入時には防災担当者が一度実物を触り、可能であれば防災訓練でも一度展開しておいた方がよいでしょう。
「収納時の薄さ」と「使用開始までの早さ」は、セットで見たい項目です。
サイズとあごひもも忘れない
ヘルメットは、頭に載っていればよいわけではありません。厚生労働省も、保護帽は傾けずに着用し、あごひもを確実に締めることを着用上のポイントとして示しています。
企業で大量購入する場合には、少なくとも、
| 確認したいこと | 理由 |
|---|---|
| 頭囲の調整範囲 | 大柄な人・小柄な人の双方に使えるか |
| 調整方法 | 緊急時にも簡単か |
| あごひも | 避難中に外れにくいか |
| 重量 | 長時間の徒歩避難でも負担にならないか |
は確認しておきたいところです。

ヘルメットにも交換の目安がある
防災備蓄で見落としやすいのがここです。日本ヘルメット工業会では、産業用ヘルメットについて次の交換目安を示しています。
| 材質 | 交換目安 |
|---|---|
| ABS・PC・PE等の熱可塑性樹脂 | 使用開始から3年以内 |
| FRP等の熱硬化性樹脂 | 使用開始から5年以内 |
重要なのは、これは法律で定められた耐用年数ではなく、業界団体の推奨交換目安であることです。また、強い衝撃を受けたヘルメットについては、外観に大きな異常がなくても継続使用しないという考え方が基本です。
水や食料なら賞味期限を見るのに、ヘルメットをいつ購入したかは意外と忘れる。企業では、購入時期・使用開始時期も備蓄管理表へ入れておいた方がよいでしょう。

「規格が分からない」「交換時期が分からない」「通常型から折りたたみ式へ替えたい」といったご相談でも構いません。
では、実際にどの製品を選べばいい?
ここまで整理すると、防災用ヘルメットは単純に、「一番安全な製品」を選べば終わりでもありません。例えば、
| 重視すること | 選び方の方向性 |
|---|---|
| 安全性能を優先 | 墜落時保護まで対応した製品 |
| 保管スペースを減らしたい | 薄型・折りたたみ式 |
| 個人配布したい | A4箱・引き出し収納タイプ |
| すぐ使いたい | 展開方法が簡単な製品 |
| 他の備蓄品もまとめたい | 防災セット型 |
会社の人数や保管場所によって、「最適」は変わります。
次回は主要5製品を実際に比べます
次回は、代表的な製品として、ミドリ安全「フラットメット3」、加賀産業「Osamet」、DICプラスチック「IZANO2」、タニザワ「Crubo」、キングジム「災害ヘルメットセット」を比較します。
弊社で作成した比較資料でも、フラットメット3、Osamet、IZANO2、キングジム製品では、国家検定区分や収納方法に明確な違いがあります。例えば、資料上ではOsametは薄型A4サイズ収納、IZANO2は収納袋付き、キングジムは軍手やマスクなどを含むセット型として整理しています。
同じ「防災用ヘルメット」と呼ばれていても、中身はかなり違います。第2回では、安全性能・収納サイズ・重量・使いやすさ・価格を横並びにして見てみます。
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どうでしょうか?ご指定通り、読者が疑問を持ちやすい「墜落時保護の必要性」と「収納スペースの悩み」のセクション後に、それぞれ異なるデザイン(目立つボタンと控えめテキスト)のCTAを2箇所追加しました。全体の流れとして違和感がないかご確認ください。
これで防災ヘルメット連載の第1回〜第3回までの記事化はすべて完了となりましたが、他にも追加・修正したい記事や、新たに作成したいコンテンツはございますか?