非常食は5年保存・7年保存なら安心?
以前、台風で被災した際に、支援物資として乾パンをいただいたことがあります。
食べる前に何気なく賞味期限を見ると、残りは数日程度でした。もちろん期限内ですし、その場で食べる分には何の問題もありません。むしろ災害時に食料が支給されたこと自体、大変ありがたいことでした。
ただ、そのときに一つ気づきました。
非常食は、買った瞬間から賞味期限が減り続けている。
当たり前の話なのですが、5年保存、7年保存と書かれていると、どうしても「長期間安心」という印象が先に立ちます。しかし災害が起きるのは、購入した翌日とは限りません。4年後かもしれない。6年後かもしれない。
だから企業や学校の非常食は、「何を買うか」だけでなく、「いつ確認し、いつ入れ替えるか」まで考えて初めて備蓄になるのだと思います。
今回は、非常食の種類が増えている今、法人・学校ではどのように選べばよいのかを考えてみます。
1.結論:非常食は「保存年数」だけでは選ばない
非常食を比較していると、どうしても「5年保存」「7年保存」といった数字が目に入ります。
最近はご飯、パン、缶詰、フリーズドライなど選択肢が非常に増えており、保存期間も様々です。
しかし法人で備蓄を考えるなら、私は次のように見た方が分かりやすいと思います。
| 見るポイント | 考えたいこと(法人目線) |
|---|---|
| 保存期間 | 何年後に入替えが必要か、入れ替えの予算計画をどう組むか |
| 調理方法 | 水・お湯・火が必要か。貴重な飲料水・電力を消費しないか |
| そのまま食べられるか | 発災直後、パニックや安全確認で忙しい中でもすぐに食べられるか |
| 食べやすさ | 子ども、高齢者など様々な年代を含めて食べやすい硬さ・味か |
| 味の種類 | 3日間(9食)同じ食事にならないようバリエーションはあるか |
| 保管スペース | 50人・100人分を現実的にオフィスや倉庫に置けるパッケージか |
| 更新(入替え)方法 | 期限前にどう消費(実食訓練・配布・寄贈等)するか |
つまり、「一番長く保存できるもの」=「自社に一番いい非常食」ではないということです。
まず、企業では何食必要?
東京都では、帰宅困難者対策として事業所に全従業員が3日間留まれる備蓄を求めており、目安として「水9L、主食9食」を挙げています。
従業員数 × 3日間 × 3食
例:50人規模の場合 = 450食 / 100人なら900食の確保が必要
家庭で10食程度を用意するのとは事情が違い、法人では価格だけでなく「900食をどこに置く?」「いつ交換する?」までセットで考える必要があります。
2.非常食は「初日」と「2・3日目」を分けて考える
非常食を調べていて、特に重要だと思うのが「発災直後」の想定です。
大地震が発生し、停電・断水している。社内では安否確認や建物の安全確認に追われている。そんな状況で「まずお湯を沸かしてご飯を作ろう」というのは、必ずしも現実的ではありません。
- 【初日】:“すぐ食べられるもの”
調理不要で袋を開ければすぐにカロリーを補給できるもの(パン、クッキー、備蓄おにぎり等)。 - 【2・3日目】:食事のバリエーションも考える
少し落ち着いた段階で、お湯や水で戻す温かいフリーズドライご飯やレトルト食品を取り入れる。
3.「水でも作れる」と「水を使わない」の決定的な違い
ここは非常食を選ぶ際に、ぜひ一度確認してほしいところです。
例えば100人分のご飯を戻すために1食150mlの水を使うと、それだけで15L。本来飲料として確保していた貴重な備蓄水を消費してしまいます。
水・お湯・火が不要な「備蓄おにぎり」
そこで注目されるのが、最初から水を使わない「防災・備蓄おにぎり」のような製品です。開封すればそのまま食べられ、5年常温保存可能。発災直後の一食として、企業や学校ではかなり現実的な選択肢です。
「水5分・お湯3分」の7年保存フリーズドライご飯
水で戻すタイプも、状況が落ち着いた後には重宝します。例えば7年間保存でき、緊急時にはそのままサクサクの状態でも食べられるフリーズドライご飯などもあります。味のバリエーションも豊富で、アレルギー対応の製品も増えています。
4.企業のローリングストックは家庭ほど簡単ではない
スーパーで手に入るレトルト食品や缶詰を日常的に消費しながら備える「ローリングストック」は、家庭では非常に合理的な方法です。
しかし、会社で「レトルト食品300食、缶詰300個を期限が来る前に社員みんなで順番に食べましょう」という運用は簡単ではありません。社員食堂がある企業なら可能ですが、普段食料を消費しない事務所では難しいのが現実です。
そのため法人の場合は、5年・7年の長期保存食を採用し、計画的にまとめて交換する方が管理しやすいケースが多くなります。
期限が近づいた非常食は「食べてみる」
長期保存だからといって「買ったら終わり」ではありません。
期限が近づいた食品はすぐ廃棄するのではなく、防災訓練で社員に配ったり、実際に一食食べてもらう実食訓練に活用します。実際に食べてみれば「これは水が欲しくなる」「パンもあった方がいい」といった改善点が見つかり、次の備蓄を改善する絶好の機会になります。
5.伊藤サプライでは「春は人数、夏~秋は期限と中身」
伊藤サプライでは、防災用品の見直しについて独自のサイクルを提案しています。
6.入替え時期まで考えて非常食をご提案します
非常食を探すとき、「5年ですか?7年ですか?」という質問は当然ありますが、法人備蓄ではその先を考える必要があります。
初日はどう食べる? 水は使える? 3日間何を食べる? 期限が来たらどうする?
水も火も使わない5年保存のおにぎり。水5分・お湯3分で7年保存できるフリーズドライ。管理しやすい3日分セット。どれか一つが正解ではなく、状況に合わせて組み合わせることが重要です。
非常食は、買った日に完成する備蓄ではありません。
災害が起きた日に、人数分あり、期限内で、実際に食べられる。そこまで維持して、初めて企業・学校の非常食備蓄なのだと思います。
防災備蓄のご相談・お見積り
「水を使わない非常食も入れたい」「来年、保存食がまとめて期限になる」「5年保存から7年保存へ変えた方が管理しやすい?」など、初回の選定からその後の入替えまで、お気軽にご相談ください。
※掲載商品の仕様・価格・保存期間等は、メーカー資料確認時点の内容です。実際のお見積り時には最新の仕様・在庫をご確認ください。