会社・学校の災害用トイレ100回分で足りる?50人で750回分の計算

100回セットの罠!
東京都の指標から学ぶ法人・学校のトイレ選定ガイド

法人防災・設備選定ガイド

会社の災害用トイレ、100回分では足りない?

〜 東京都の目安では50人で750回分・失敗しないトイレの選び方 〜

防災用品を見直していて、意外と判断が難しいのが災害用トイレです。
ネット通販や検索画面を見ると、凝固剤100回分セット、防臭袋付き、折りたたみ式便器、段ボール製、ラップ式、車載用まで、かなり多くの種類が並んでいます。

実際に2026年8月時点の主要比較サイトや売れ筋ランキングを見ても、用途の異なる商品が同じ「簡易トイレ」カテゴリーに混在しているのが実情です。

そこで今回は、具体的な商品比較の前に、「災害用トイレにはどんな種類があるのか」「会社や学校では何を基準に選べばよいのか」を整理してみました。

1.結論:まず「何回分必要か」を計算してからタイプを選ぶ

最初に、かなり重要な基本の数字があります。
東京都総務局が発行する事業所向け資料では、最大同時出社人数を基準に、「非常用トイレ:1人1日5回程度 × 3日 = 15回分」を備蓄の目安としています。

最大同時出社人数 3日分の備蓄目安(15回/人)
10人 150回分
20人 300回分
50人 750回分
100人 1,500回分
200人 3,000回分

通販サイト等で「100回分」と書かれた箱を見るとかなり大きく感じますが、50人の会社なら100回分は全員が2回使えばほぼ終了します。
非常食は「50人×9食」と正しく計算するのに、トイレはなんとなく「100回入りを何箱か」で決めてしまっていないか、一度見直したいポイントです。

人数別非常用トイレ必要数

2.そもそも、断水したら便器に水を入れて流せばいい?

大きな地震で断水した際、「バケツで水を入れて便器へ流せば使えるのでは?」と思いがちですが、危険です。

下水道管や排水管破損のリスク問題は給水だけでなく、地中の下水道管や建物内の排水管が破損している可能性がある点です。
東京都下水道局なども、大震災後の使用制限地域や管の点検前には水洗トイレを使用しないよう呼びかけています。破損した状態で流すと、階下への汚水漏れや逆流など致命的な事故を引き起こします。

見た目で便器が壊れていなくても流せる保証はありません。だからこそ、企業や学校には独立して使える災害用トイレが必要になります。

3.災害用トイレは、大きく5種類に分けて考える

災害用トイレの分類

「簡易トイレ」「携帯トイレ」などの呼称は曖昧に使われています。自社に合うものを選ぶため、用途別に5種類に整理します。

種類 使い方 主な用途・特徴
①既存便器設置型 既存の洋式便器に袋+凝固剤 企業・学校の主軸。大量備蓄しやすい
②携帯型 袋や容器に直接排泄 外出・営業車・エレベーター閉じ込め用
③組立・折りたたみ式 独立した便座・台座を組み立て 便器破損時や別場所へ臨時増設用
④密封・ラップ式 排泄物を個別に熱でフィルム密封 福祉・高齢者施設。防臭・衛生性最優先
⑤仮設・マンホール型 下水マンホール上に直接設置など 避難所指定校・大規模施設向け

4.5種類のタイプ別特徴と活用シーン

① 企業で基本になる「既存便器設置型」建物と個室が無事なら、一番使いやすいタイプです。今ある洋式便器に汚物袋をセットし、凝固剤で固めて回収します。便座そのものを大量購入する必要がないため、50人・100人単位の備蓄においてコスト・保管場所の面で最も主流になります。
② 外回りや車に向く「携帯型」手に持った袋や受口に直接排泄するコンパクトタイプ。社内の主軸として何千回も揃えるのではなく、営業車、防災ポーチ、エレベーター閉じ込め対策用として数回分ずつ配備する位置付けに適しています。
③ 便器自体が使えないときの「折りたたみ・組立式」便器が損壊した際や、別場所に臨時トイレを設置したい場合の必須アイテム。

  • 段ボール型: 軽量で保管時も薄く低価格。ただし湿気や耐久性に注意。
  • 樹脂・プラスチック型: 多少の場所は取るが、水洗い可能で耐久性・安定感に優れる。
④ 「臭い」を重視するなら、密封・ラップ式排泄物を1回ごとに特殊フィルムで熱密封するタイプ。高価ですが直接触れず臭いを強力に遮断できるため、福祉施設や衛生管理を最優先したい場所に最適です(電源や専用リフィルの確保が必要)。
⑤ 学校・避難所ならマンホールトイレも考える避難所に指定されている学校等では、発災直後〜数日は携帯・簡易トイレ、その後の長期化に合わせてマンホールトイレや仮設トイレを段階的に組み合わせる総合計画が必要です。

5.法人・学校で失敗しない商品選びの7つのポイント

  1. 「100回分」の中身を見る: 「凝固剤のみ100個」なのか、「汚物袋・防臭袋・手袋まで含めた100回フルセット」なのかを必ず確認する。
  2. 1回分を完全処理できる構成か: 袋が足りない、あるいは本体だけで袋が付いていない等、セット抜けを防ぐ。
  3. 本当の問題は「使用後の保管と防臭」: 750回分の使用済みゴミが発生する。BOSなどの防臭袋、一時保管場所、手袋、消毒液までセットで考慮する。
  4. 保管スペースの算出: 大量備蓄は既存便器用(箱型)で省スペース化し、予備として折りたたみ式便器を数台置く組み合わせが効率的。
  5. 保存期間の確認: 凝固剤は5年・10年・15年保存など様々。「買った日ではなく使う日に機能するか」を定期点検する。
  6. 女性・高齢者・子どもへの配慮: 便座の高さ、耐荷重、目隠しポンチョやプライバシーテントの用意。
  7. 事前訓練で「1回使ってみる」: 防災訓練で実際にセット・使用してみることで、手袋の配置やゴミ移動の課題が初めて見える。

6.伊藤サプライなら「50人だから750回」で終わらせない

企業の災害用トイレは、単に「人数×15回分」の数値を計算して購入するだけでは運用できません。

【オフィスの具体構成例(50人規模)】

  • 基本備蓄: 既存便器用携帯トイレ 750回分(防臭袋付き)
  • 予備備蓄: プラスチック製折りたたみ式簡易トイレ 数台
  • 衛生・運用: 防臭袋、作業用手袋、消毒用品、回収用ごみ袋・一時保管用品

伊藤サプライでは、「750回分を買う」のではなく「750回の排泄をどう安全・衛生的に処理するか」という観点から、個室数・保管場所・ご予算に合わせた一括手配をご提案いたします。

【次回予告】
次回は、Amazonや価格.comの売れ筋商品、および伊藤サプライ取り扱い製品の中から、50回・100回セット、15年保存タイプ、折りたたみ式、ラップ式などをピックアップし、1回あたりのコストや保管スペースまで徹底比較します!

防災備蓄のご相談・お見積り

「自社の人数に必要なセット数を知りたい」「既存便器型と折りたたみ式をどう組み合わせるべき?」など、ご検討段階からお気軽にご相談ください。

※掲載商品の仕様・価格・保存期間等は、メーカー資料確認時点の内容です。実際のお見積り時には最新の仕様・在庫をご確認ください。

参考:内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」、東京都防災ポータル等を参考に作成。
電話で相談(平日9〜18時)